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駐車違反取締り
─6月1日から始まった新制度-
今井亮一(交通ジャーナリスト) |
今年6月1日から、放置違反(運転者が車両を離れて直ちに運転できない場合の違法駐車)に対する、①取り締まりの方法、②取り締まりを行う者、③取り締まったあとの処理、これらが大きく変わった。以下、1つずつ解説していこう。
①取り締まりの方法
従来は、チョークでタイヤに印をつけ、15分とか30分とか待ってから、駐車違反のステッカーを貼りつけていた。そこには警告、猶予の意味があった。
ところが6月1日から、チョークはもう用いない。放置違反であることを確認したら、直ちに取り締まりを始める。
新しい取り締まりは、「確認標章」という新しいステッカーを貼りつけることで行う。
ただし、これをぺたりと貼りつける前に運転者が車へ戻ってくれば、貼りつけは行わない。つまり、その運転者は取り締まりを受けずにすむわけだ。
②取り締まりを行う者
これまで、取り締まりは警察官または交通巡視員が行っていた。6月1日からは、それに加えて、緑色系の制服を着た「駐車監視員」(以下監視員)も行うことになった。取り締まりを委託された民間会社の従業員だ。
監視員は、デジタルカメラで違反状況と車のナンバーを撮影し、携帯端末(取り締まり専用の携帯コンピュータ)に車種や違反場所や日時などを入力し、携帯プリンタでステッカーをプリントアウトする。
その作業に、少なくとも3~5分くらいかかる。もっとかかることもある。それまでに急いで車へ戻ればセーフというわけだ。
警察官または交通巡視員は、監視員と同じ携帯端末などを使うこともあるし、デジタルペンでステッカーを手書きすることもある。ボールペンで手書きすることもあるかもしれない。その場合、ステッカーの貼りつけに要する時間は、監視員より短い可能性がある。
③取り締まったあとの処理
ステッカーが貼りつけられたあと、違反者が「私が違反しました」と正直に警察へ出頭すると、普通は違反キップを切られ、「反則金」の納付書が渡される。違反歴となり、違反点数もつく。
では、違反者が知らん顔していると、どうなるか。従来は、警察から何度か呼び出しがあるのが普通だった。
だが、6月1日からは呼び出しはこない。そのかわり、早ければ5日くらいで、車のナンバーからわかった持ち主(車検証上の使用者)へ、「放置違反金」という新しいペナルティの納付書が郵送される。
そして、持ち主が銀行か郵便局へ放置違反金を振り込むと、違反処理はそれで終わってしまう。「違反者の責任を問えなかったので、持ち主に責任を負わせた」ということで、終わってしまうのである。
持ち主=違反者ではないから、違反点数はつかない。放置違反金は反則金と同額。何回も取り締まりを受けた車は「使用制限命令」を受けることになるが、その基準は、半年間に取り締まり4回で使用制限20日間という軽さ。他の車は自由に運転できる。
つまり、自分の車で自分で違反した場合、ステッカーを貼られても、出頭せずに車の持ち主の立場で放置違反金を払えば、ゴールド免許のままでいられるのだ。
ちなみに、正直に出頭して、駐車した事情などを警察官に説明、「じゃ、今回はキップを切らないよ」と許してもらった場合、どうなるか。信じられないかもしれないが、「違反者の責任を問えなかったので」という理由で、車の持ち主に放置違反金の納付命令がくる。払わなければ、車検が通らなかったり、年利14.5%の延滞金付きで差押えを食らったりする。「とにかくカネだけは絶対に取るぞ!」という制度になったのである。
現在、監視員が取り締まりを行うのは、全国270警察署(全警察署の4分の1くらい)の管内だけだが、来年からもっと増える。放置違反金は、取り締まりを行った都道府県の収入となるが、監視員への委託費などの新たな支出が生じる。都道府県が赤字にならないためには当然、取り締まりをかなり増やさねばならない。国会では「2倍程度」に増やすと言われていた。
「誰にも迷惑にならないのに、ほんの数分なのに、なんで?」という取り締まりが、これからどんどん増えるわけだ。頭にきて監視員を殴ったり脅迫したりすると、公務執行妨害で逮捕される。ご注意を。
いまい・りょういち/全国の運転者の方々から相談等を受けながら、交通違反を専門に、週刊誌・月刊誌・新聞・ラジオ・テレビ等にコメント&執筆
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